イジワル御曹司と契約妻のかりそめ新婚生活
「え」


 必要ない、と言われるような気がしていたので、驚いて隣を見れば、相変わらずの無表情がじっと私を凝視している。


「食べたいの?」
「食べたい。迷惑か?」

「いえ全然。前日に声かけてくれたら作るよ」
「助かる」


 こっくりと素直に頷かれ、なぜかずきゅんと胸に来た。
 な、なんでこんな、素直なの?


 こんな愛想の欠片もない人だけど、可愛いなんて一瞬思ってしまったのは、おかしいだろうか。狼狽えてしまって慌ててサンドイッチを口に詰め込み、もう少しで咽てしまうところだった。

< 53 / 269 >

この作品をシェア

pagetop