水瀬くんは浮気をする生き物です
そのまま水瀬くんに引き寄せられるような形で体制を立て直した私は、ハッとして口を開く。
「っあの!お怪我は!?」
「え?」
「どこかぶつけたり、擦りむいたりしてませんか?私がすぐ動けなかったからこんなことになっちゃったのに、もし何かあったらと思って…」
あわあわしている私と、目をぱちくりさせる水瀬くん。
二人きりの保健室はやけに静かに感じられて、心臓の鼓動はどんどん早くなっていく。
「変な子」
「え?」
「だって、完全に俺が悪いんだから怒ったりすればいいのに」
…好きな人を怒るなんて、できるはずないよ。
言えない代わりに、ふるふると首を横に振ってみせるのが精一杯だ。