洗脳されていたことに気付いたので逃げ出してスローライフすることにします。-元魔王四天王の村娘ライフ-
まずは治癒魔法で傷を塞ぐ。

私の使う魔法の多くは人間の使う『錬金術』によく似ている。
何かを成すには何かを捧げる。
等価交換。
『どらご』を作った時には魔鉱石と魔力を捧げ、『名前』を与えることで私と絆を結んだ。
『どらご』が何かを行う時は私の魔力が消費される。

治癒魔法に捧げるのも私の魔力。
ただし失った血を戻すのには私の血を捧げる。 
血は命そのもの。
命を一部とはいえ与えるなら、代償もそれなりのものが必要になる。
魔力だけでは足りない。

そのため私は空間収納魔法からナイフを取り出して自分の指先に小さな傷を付けた。
その様子を後ろで見ていた『ルーシア』が「マイロード!」と非難の声を上げる。

「そのようなどこの者とも知れぬ輩のために御身に傷を付けるなど!」

『ルーシア』は粘液状の身体から、人の姿に見た目を変えている。水色の髪に蒼い瞳の女性体。
声もそれに合わせて女性らしい高い声だ。

「こんなの舐めときゃ治るわよ。ぎゃんぎゃん喚かないの」

私はそう『ルーシア』を宥めて僅かに血の滲んだ指先を少年の唇に押しあてる。

「『造血』」

失った分の血を、魔法で造る。
少年自身の身体が持つ治癒力を高めて増血させるという手もあるけど、それだと少年の身体に負担がかかる。だから、魔族で造った。

すぐにほんのりと頬が染まって、
数分もすると、少年はうっすらと瞳を開いた。

「……魔族?」
「あ、」

少年の呟きに、私はしまった。と自分のミスを悟った。

--瞳の色と角。
そのままだった、と。




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