洗脳されていたことに気付いたので逃げ出してスローライフすることにします。-元魔王四天王の村娘ライフ-
「ふざけるなっ!」

怒気に満ちた声とともに、手首を強い力で握られた。

「……っ」

魔族といっても、身体能力そのものは人間とろくに変わらない。
私にしても純粋な腕力そのものは18才の女のものだ。
12、3の少年とはいえ男。
18にしては小柄な女子の私。

本気を出されたら力では負けるらしいというのを知った。

「マイロード!」
「『ルーシア』やめなさい」

今にも射殺さんとばかりの目で少年を見る『ルーシア』をとりあえず止めた。

うちの子にするかどうかはともかく、情報をまだ何も聞き出していないのだ。
それに、せっかく助けたしね。

「少年。命の恩人に対して暴力はよろしくないと思うよ?」
「嘘をつくなっ!魔族がっ!?そんなわけ」
「だったらなんで少年は生きてるの?」

私がそう言うと、少年は呆けたような顔をした。腕の力も少し緩んだので、そのうちに手を抜け出させる。 
ちょっとヒリヒリするな。
 
「私が見つけた時、少年は怪我をしてた。あのままだったら確実に血を失い過ぎて死んでたよ」
「……それは」

少年は目にうろたえて、視線を彷徨わせた。
その目が自身の胸から腹へと這う。
傷は消えているけど切れて破れた騎士服はそのままで、そこには大量の血の痕もばっちりついたまま。

「……本当に、おまえが助けてくれたのか?」





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