チャラ王子に捕まりました。
「み…、水無月くん?」
普通科の水無月くんと音楽科の私とではもちろん教室は離れているけど彼は目立つ存在で…
運動神経抜群。
テストでは常に学年トップ。
そして音楽でも、多分この学園で彼に勝てる人は居ない。
普通科にも関わらず、ヴァイオリンのコンクールでは数々の賞を受賞しているという。
ただ…、いい噂だけではない。
“水無月 晴琉は特定の彼女を作らない”
そんな彼をイケメンチャラ王子なんて呼ぶ子までいる。
いきなり現れた学園の有名人に、ついあたふたしていると、クスクスっと柔らかそうな前髪を揺らしながら彼は笑った。
「挙動不審すぎでしょ?安心して?襲ったりしないよ」
ニコッとキラキラしたような笑顔を見せる水無月くん。
「お、…っ!」
驚きを隠せない言葉に思わずあたふたしてしまう。
「あははっ…。慌てすぎ」