チャラ王子に捕まりました。
もちろん私なんか水無月くんが相手にしないことくらい分かってる。
私だって…、こういう時ニコッと笑い飛ばせるくらいの余裕が欲しい。
「………」
「ん?どうしたの?あー、もしかして……」
そこまで言うとなぜか近づいてくる水無月くん。
そして綺麗な唇が私の耳まで来た時、彼は言った。
「なんか期待した?」
高校生とは思えないくらい色っぽいその声に、全身が熱くなるのがわかり、慌てて耳を押さえて1歩下がる。
や、やっぱり噂は本当だったのかな?
どうしよう…逃げた方が……。
「なーんてね。冗談だよ。反応が可愛いからつい意地悪しちゃった。ごめんね?」
面白そうにお腹を押さえながら笑っている水無月くんからは、その言葉の割には悪いと思ってなさそう。
初対面でここまでからかわれて良いものなのだろうか。