それは、見事な
同じ、漫画を描くという人が身近に存在するだけで、自分のテンションがどれ程上がったかにハルは驚いた。そう言えば、ずっと一人だったかもしれない。高校時代は普通化で、大学は社会学部だった。それでも、高校時代には一緒に漫画を描いていた友達がいた。けれど大学、大学院や就職と進むに連れて、一人、また一人と漫画を描く事から離れていった。それは、どうしようもない事で、それぞれの道を進んでいくんだと納得はしても、寂しさばかりが残った。ここ数年いつか、芽がでるのか。毎日、いわれようもない不安を抱えながら、友だちはそれぞれの道できちんとキャリアを積んでいるなかで、誰とも悩みを共有できずに漫画を描いていた事を、改めてハルは認識した。
今まで、無意識下にあったその孤独と、不安の大きさを改めて両肩にずっしりと感じて、ハルは自分に、よくやってるなと人事のように言いたくなった。
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