それは、見事な

金曜日

人との距離感に、過剰に反応する金曜日
今日で、週末。休みになる事をいい聞かせて、ハルは布団から這い上がる。電車は比較的すいていて、乗り換えの多い駅で、必死に席を確保する。シルバーシートの角に座って壁に頭をもたれかける。助かった。これで何とか出社できるとハルは思った。相変わらず、雲はどんよりと重く、太陽がでてくる気配はない。低気圧と血圧は関係しているのだろうか。太陽がでてくれば、この膜を張ったようにぼんやりとした頭も、すっきりして快活になったりするのだろうか。そんな事を考えながら、乗り換え駅で項垂れていた頭を持ち上げる。黄色い線が入った電車が勢いよくホームに到着する。たくさんの人がおりて、たくさんの人が乗っていく。その波に乗り遅れないように、乗り遅れなければ、大丈夫。そういいきかせて、人の流れに乗っていく。 朝一番に出社すると、空気はとても静かで、物物が活動を停止している。この静寂と電気をつける前の薄暗い空間がハルは好きだった。ずっと、この時間が続けばいいのにと思いながら、社員のゴミ箱をかき集める。入り口にある大きなプラスチックのゴミ箱にあつめたゴミをぶちこんでいると、キューさんが出社してきた。