俺だけ見てろよ~御曹司といきなり新婚生活!?~
もちろん営業も事務処理はするし、手が空けば事務職の人たちの手伝いもする。
全部を押しつける気なんてさらさらない。
しかし、坂巻さんはこういうことが多すぎる。
「高遠さんみたいに仕事ができる人ならすぐだって。ね、お願い」
別に私が特別できるわけじゃない。
努力はしているつもりだけどまだまだだし、パソコンの操作だって得意じゃないのに。
坂巻さんのほうがよほどスキルもあるでしょ?
私はそんなことを考えながら、チラッと腕時計で時間を確認した。
もう出ないとアポイントに間に合わない。
ここで押し問答している時間はない。
「わかった。できなかった分はデスクに置いておいて。十八時前には帰社予定だから」
そう言い残したあと、慌てて会社を飛び出した。
今日は大手の生活雑貨店の担当者に会ったあと、小規模の得意先を何軒か回ることにした。
渡会さんに頼まれている商品の販促と、売れ行き動向の確認が主な業務だ。