俺だけ見てろよ~御曹司といきなり新婚生活!?~
憧れの人に『あんな地味女、絶対に無理』と言われたせいで、必死に外見を取り繕ってきた。
その結果、仕事ができるモテ女みたいな噂が立つようにはなったけど、残念ながら中身が変わったわけではなく、その印象を保つのに一生懸命にならないといけなくなっている。
「かわいいんだけど、できないことはできないと言わないとダメだ。これは高遠の仕事じゃない」
隣の席に座った彼は、うつむく私の顔を覗き込んできて叱る。
その通り。
本当は断るべき仕事だ。
坂巻さんの代わりに残業をしているだけ。
しかも、営業は営業手当があるので残業代はつかないのに。
「すみません」
「ごめん。高遠が悪いわけじゃないんだけど……ちょっとお人好しすぎて見ていられないっていうか」
渡会さんは私の頭をポンポンと叩く。
「ま、そんなに深く考えなくていいから。ほら、全部やっちまうぞ」
「えっ? 渡会さんはお仕事終わられたなら帰ってください」
書類に手を伸ばす様子に驚いて声をかけると、小さく噴き出している。