俺だけ見てろよ~御曹司といきなり新婚生活!?~

だってこんなの全然私じゃないもの。
 
大学の同級生を見返すくらいにはなれているのかなと思う一方で、窮屈さも感じている。

 
自分のデスクに向かうと、営業事務の牧野(まきの)さんに話しかけられた。
 
彼女は二十六歳になった私の五つ年上の三十一歳。
事務の中では一番年上で、第二営業部の事務職を仕切っている。


「高遠さん、今日もばっちり決まってる。彼氏とデートの予定でもあるの?」
「彼氏なんていませんって」
「またまたー。今は外資系だっけ?」


いないと何度言っても信じてもらえない。
私が男の人をとっかえひっかえしているという噂は、彼女が広めているような気もする。

 
最初は『高遠さんって絶対に彼氏いるよね』という勝手な憶測から始まって、いつの間にか銀行員だとか、商社マンだとか、どこから出てくるのか不思議なくらい間違った話が飛び交っていて収拾がつかない。
 
でも、今度は外資系企業なのか……。
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