柏木くんにはヒミツがある。


「でも、元はと言えば私が、柏木くんに変なことしたからで……本当、ごめん。今日も、この前のことも、嫌な思いさせちゃったよね」

「……」

「あんなことしなければ良かったって、思った」



柏木くんからの返事はない。

不思議に思って彼の方を振り返ると、寂しさと不安でいっぱいになったかのように、彼は顔を曇らせていた。



「か、柏木く──「後悔してるの?」



私より背の高い彼の顔を見上げるような体勢で、「え?」と口にする。

なんで、君がそんなに悲しそうにしているの?



「無かったことにしたい、ってこと?」

「え、えっと……」



私は、みっちゃんに背中を押されて、それで、柏木くんのところに来て、

話を、話をしなくちゃって……。

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