柏木くんにはヒミツがある。


ぐるぐると、色んな思いが頭の中を駆け巡る。



「三木」



そんな時、柏木くんが私に向かって手を伸ばした。



『俺さ、触っただけで分かるんだよね。相手が何を考えているのか』



思わず身を引いて柏木くんと距離を取った瞬間、

私は、私はなんてバカなんだろうって、思った。



「……やっぱ、引くよな」

「あ……っ」



笑った彼の顔は、ひどく辛そうで。

柏木くん、この力のせいでみんなに気味悪がられることもあるって、言ってたのに。

そんなことがあって、傷つかないはずないのに。


私、柏木くんの力をすごいって、言ったくせに。


柏木くんを傷つけた人達と、同じことをしてしまったんだ。



「……ごめん」



胸が張り裂けそうになる。

違う、違うんだよ、柏木くん。
< 49 / 60 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop