叶わぬ恋…それでもあなたを見ていたい
ベッドの前の椅子に座っている二人の威圧感は半端ない。
山田さんの声も聞こえたから、三人いる。藤堂先生、田中先生、山田さん。
『今日、お父さんが来てくれて、美咲の体のことを話したよ。』
はぁ。いつもの事だけど、私の体についてみんながあれやこれや言うけど、本人がそれを知るのは後のこと……。
『今後のことを話したいんだけど、顔を出して。』
……………………。
『美咲ちゃん?大事なことだから、出てきてもらえないかな?』
田中先生に声をかけられる。
「……もう決まってることなんでしょ?別に言わなくてもいい。お父さんから聞くから。」
『お父さんは知らないよ。』
「じゃあお父さんに聞くからそっちから伝えておいてよ。」
と布団に被ったままのやりとり。
『あのなぁ。ちゃんと自分のことなんだから、自分で聞きなさいっ!』
と同時に布団をめくられる。
涙をいっぱいに流した私の目は、突然布団を剥がされ、まん丸になる。
『美咲……。』
藤堂先生は驚いた様子。
『美咲ちゃん?』
心配そうに見つめる田中先生。
いつもなら抑えられる感情が、この時は涙と一緒に一気に溢れでて、
「いつもいつもっ!私の体のことを私以外が知ってて。それなら私に聞かないで勝手にやったらどう!?」
自分で泣きながら、ものすごい興奮してることは分かっていた。
どうしても止められない……。
『美咲ちゃん?大丈夫だから、一度落ち着いて呼吸しよう。』
そう言われても、泣いて怒っているので、呼吸に落ち着きがない。
気づくと、布団の上に立ち上がっていた。
落ち着け……私。
「私のことを、はぁはぁ、もうとやかく言わないでよ……。はぁ。」
布団にくるまりながらいろいろ考えていた。
気持ちが高まっていたところに、先生たちがきて、一気に吐き出してしまった。
とても呼吸が落ち着きそうにない。
『よしよし、そしたらまた来るから、もう話はなしにして…。座ろう。』
田中先生になだめられて、立ち上がっていたベッドの上に座った。
「はぁはぁはぁはぁはぁ……。」
と荒く呼吸をしていたけど、次第に自分で落ち着きを取り戻していた。
「もう、家に帰るから……。」
ボソッと呟く。
『うん。そうしようかと、思って話に来たんだ。』
えっ!?田中先生の言葉に再び目を丸くする。
顔を上げて二人を見る。
『帰宅を踏まえた話をしに来た。話しても大丈夫?』
帰宅を踏まえた……。退院ではない?
その言葉を聞いて、すっかり落ち着いていた。