恋を忘れたバレンタイン
 このチョコに、どれだけの想いを秘めていたのか……

「ゆるしませんから…… いつまでも、自分のペースになるなんて大間違いですからね。覚悟して下さい……」

 俺は、彼女を抱きかかえた。


「ひゃ―っ。チョコぐらい、いくらでも買ってあげるわよ」


「そういう問題じゃない!」


 本当にこの人は、ことの重大さを分かっていない。

 その癖、おれを扱うのが上手い。
 彼女は、さらりと俺の首に手を回して艶やかな目を向ける。


「そんなに怒らなくても……」


 俺は、彼女をグッと見下ろすと、耳もとに唇を近づけた。


「好きです…… 前にも言ったんだけどな……」



 彼女が、ぽかんと考えている。

 まさかとは思うが、あの夜の俺の告白を聞いていなかったのか?
 なんだか笑えてくる。
 俺と彼女にはまだまだ、知らない事が多そうだ。


 「好きよ…… 始めて言うけどね……」



 口の中に残る甘さに、小さく笑みが漏れる。


「愛してます…… ずっと、前から……」


「言ったわね…… 覚悟してね。私、一生離れないわよ。私も愛してる……」
 
 
 彼女の唇に、自分の唇を重ねた……



 来年も、これから先ずっと、バレンタインデーには思い出すだろう。

 捻くれた彼女に振り回された、バレンタインデーを……


 そのたび、彼女の重さに嬉しいため息をもらすだろう……


                       「完」
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