恋を忘れたバレンタイン
「早く座って下さい…… 暖かいうちに食べて下さい」

 私が座ると、彼も向かいに座り二人でどんぶりを囲んだ。

 私は、おそるおそる箸を持ち口に運んだ。


 口に入れると、暖かい味が広がる。
 消して、特別美味しいわけでは無いと思う…… 

 ただ、彼が一生懸命に作ってくれた想いが口の中に広がってくる。


「おいしい……」

 ぽろっと口にすると、泣けてきてしまいそうになり次々と口に運んだ。


 ほっとしたように息をつくと、彼も箸を手にした。


「ちょっと、しょっぱいですよね」

 彼は、照れ隠しのように言った。


「ううん。そんな事ないよ。ありがとう……」

 食べ終わると、彼が暖かいお茶をマグカップに入れて持ってきてくれた。


 いちごも、パックに入ったまま持ってきた。
 水滴があるから、一応洗ったのだろう……


 お茶を飲み、イチゴを口に入れると甘酸っぱさが広がる。


「風邪を引いた時は、イチゴが良いって部署の女の子達が言っていたんで……」


「うん…… 美味しい……」




 お茶を飲んで、一息つくと、私は口を開いた。
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