復習したい

「えー、各部署からの前に、本日出席予定でした前川常務ですが、来月末開催される株主総会の関係で欠席とさせて頂きます。」

ーー常務居ないの...?

事務的な淡々とした声色とは裏腹に、私は何故か嫌な予感がして仕方がなかった。

なんで嫌な予感がするかは分からない。ただなんとなくー...


「つきましては、本日、八重津専務にお越し頂きました。よろしくお願いします。」


ードクンと心臓が脈撃つのを感じた。

議長に紹介されると、私がさっきまで目で追って居た、朝一緒にいた、あの男が席を立ち一礼をしている。


信じられないというより何が起こってるのか理解出来ない。

呆気にとられていると、顔を起こした専務と呼ばれる男はこちらを見てニヤっと笑った。



ーーー議長の淡々とした声が段々と遠のいていくようだった。






✳︎✳︎✳︎

気がついた時には会議は終わっていた。私が発表したのも、私が会議中に取ったメモも、あまり記憶が無い。それくらい私にとってあの男が専務という事実は大きなものだった。


八重津....八重津ってやっぱり....


「桜田主任!」






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