復習したい

後ろから呼ばれて、ハッとして振り返ると、そこには小走りで追いかけてきた城内さんがいた。

「主任、昨日は本当にすみません。忙しくて、なにも言えないままで」

そう言って頭を下げる城内さん。昨日は忙しくてあれから城内さんとは会っていなかった。自分の責任だと負い目を感じているのだろうけど....今の私は昨日の事などどうでも良かった。

「ねえ、昨日の男の人、専務って城内さん知ってた?」

「え、あっ、はい!八重津専務ですよね?」


思ってたのとは違う質問に驚きながらも、城内さんはそう答えた。

まじか...と私は内心で焦る。

「まさかあそこで専務が来るなんて思いもよりませんでした...。それで尚更主任が心配で...........って主任、もしかして専務ってこと...?」

「今日の会議で知った。」

ええ!?っと大きな声を出して驚く城内さん。私だってあの場が会議じゃ無かったらそうなると思う。と同時に、城内さんの証言からも会議で見た専務は、やはりあの男で、見間違えでは無かったというのが立証されてしまった。

「主任、入社式の時見てなかったんですか!?私の時は、専務がカッコいいって話題で持ちきりだったんですよ〜!」

「いや、確か私の入社式不在だったのよ。海外にいるとかなんとかで...」

もう5年前にもなる入社式の記憶を掘り起こす。

常務、社長、人事の部長......

やっぱりどう頑張ってもあの顔は思い出せなかった。なんなら専務の紹介なんて不在で〜ぐらいしか無かったんじゃないだろうか。


< 24 / 33 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop