復習したい

「やっぱり、どう考えても思い当たらないわ。...八重津って、八重津社長の息子さんとか?」

「そうですよぉー。八重津専務は社長の息子でもあり、会長さんのお孫さんです。まさか知らない人が居たなんて。経歴でも、顔でも、色々有名な方ですから。」


ーー会長の...孫..

私も知らないなんてとんだ誤算だった。いや、昨日からもう狂いに狂いまくってるけど。専務も親族繋がりなのか、この会社は。

思えば、私の家を容易に調べられたり、隠蔽したり、部長の態度だって、専務と言われれば確かに納得だ。なぜあの場で私を助けたのかは未だに謎だけど。


ーー八重津壮一の孫....。

どんな経緯であれ、誤算だったが本当は好機なのかもしれない。まさか向こうの方から来てくれるとは。


私の中に渦巻く黒い感情。もう10年も共にして来た。10年間、なにもかも犠牲にしてきた。このために。




絶対に復讐してやる。



これは神様が私にくれたチャンスだ。逃すわけにはいかない。



私の黒い感情は、熱く専務について語る城内さんの話を全く通さなくなっていった。


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