海軍提督閣下は男装令嬢にメロメロです!
私が意地を張り続けた。
私は、名誉を挽回したかった。これをやってやれば、認められるに違いない。そんなある種の打算があった。
「私の当番を代わってくれた時に、物事は賢くやらないとって、そう言ってたろう?」
「う、うーむ。そんなことも言ったか?」
私が意地を張り続けなければ、今回の結果は違う物になっていた。
だって私には、頭を下げる選択肢だってあったのだ。ブラシを貸してくださいと、乞い願う選択肢が、私にはたしかにあった。
雑巾をよこせと、売られた喧嘩を私が買った。
「言ったよ。そうしてその言葉は、あらゆる物事にあてはまる。実に、物の本質を突いた言葉だって今ならわかる。身に、染みたよ」
アーサーさんは少し、困ったように笑った。
「そんな大層な意味で言ったのではないんだがなぁ」
「アーサーさん、もっと俺に厳しくして? 俺は船上の常識に疎いから、間違ったことや、迂闊な行動を取ることがあると思う。そんな時はアーサーさんが、俺を叱ってくれ。俺を、正しい方に導いてほしい」