海軍提督閣下は男装令嬢にメロメロです!

 なのに最近は、隣のアーサーさんがものすごく気になって、なかなか眠りが訪れてくれない。
 ……まぁ、それを不快に感じないってのが、ますます不思議なんだけどな。
「ああ、おやすみエレン」
 とにもかくにも、こうしていつも通りの軽口を交わしながら、この晩もアーサーさんとふたり、すっかり定位置となった床で並んで眠りについた。


 それは、突然のことだった。
 耳慣れないドォンという音を遠く聞いた気がして、次いで船が大きく揺れた。私はその揺れと同時に、跳び起きた。……いや、跳び起きたというのは少し語弊があって、激しい横揺れが、問答無用で体を布団から引き剥がす。
 わずかにでも気を抜けば、そのまま体は船壁まで転がってしまいそうなほどだった。
「エレン!」
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