海軍提督閣下は男装令嬢にメロメロです!
「大丈夫だ! 俺が自分で世話をする! お前たちの手は絶対に煩わせん!」
「……なんでしょうね。台詞は以前と一言一句同じなのに、まったく同じに聞こえないこの不思議……」
「な、なんのことだ?」
 マーリンの胡乱な目に、自然と俺の目が明後日の方向に泳ぐ。
「まぁいいでしょう。最初から、船長が世話する約束だったのは事実ですから」
「マーリン!」
 感極まった俺がマーリンの手を取ろうとしたら、マーリンにスルリとかわされる。俺の手は取る物をなくし、スカッと空を切った。
 お?
 俺の手をかわしたマーリンの手が、ビシッと俺の目の前で人さし指を立てた。
「ただし、くれぐれもうまいことやってください!」
「もちろんわかっている!」
 マーリンの念押しに、俺は一も二もなくうなずいた。
 こうしてマーリンの了承も得て、俺は手ずからエレンの世話をする僥倖に恵まれることとなった。



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