愛したい、愛されたい ─心を満たしてくれた君へ─
心を満たしてくれた君へ
土曜日の今日、朝早くから休日出勤をしていた志織が、お昼になる少し前に【あと一時間くらいで帰れそうです】とトークメッセージを送ってきた。

きっとお腹を空かせて帰ってくるであろう志織のために昼食を用意しておこうと、俺は志織とおそろいのエプロンをしてキッチンに立つ。

初めて料理をしたあの日のように、米を研いで炊飯器にセットしたあと、冷蔵庫の中から卵とタマネギと鶏肉を取り出した。

あのときは何もかもが初めてでうまくできなかったけれど、今では料理も慣れたものだ。

志織を想いながら志織のために料理を作ることも、俺の作った料理を食べて喜ぶ志織の笑顔を見ることも、俺にとっては掛け替えのない幸せだと思う。

こんな毎日が一日も長く続くように、全身全霊で志織を愛し守りたい。


それからしばらく経って、ちょうど二つ目のオムライスが出来上がった頃、仕事を終えた志織が帰ってきた。

二人で向かい合ってオムライスを食べながら、俺は「いつかそのうち話すよ」と約束していた、料理を作り始めたきっかけを話した。

直接的なきっかけは志岐と玲司に食べさせるためだったけど、そこに行きつくまでの恋とも呼べないような苦い経験を、志織は何度もうなずきながら最後まで黙って聞いてくれた。

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