というわけで、結婚してください!
「いえいえ。
 そういうわけではありません」
と鈴は答えた。

 家族や友人と居る人たちを見て、ホームシックにかかったとでも思ったのだろうか。

 まあ、寂しくないこともないのだが。

 ちょっと暗い気分になってしまったのは、胸にひっかかっていることがあるせいだ。

 楽しいことがあっても、心から楽しめないというか……。

 よく考えたら、大変なことしちゃったんだよなー。

 そんなことを考えながら、車に向かって歩いていた鈴は、
「あっ」
と足を止める。

 どうしたっ? と心配そうに見上げてきた尊に鈴は言った。

「すみません。
 壇ノ浦じゃくて、めかりパーキングエリアだったかもしれません。

 友だちのお母さんが手を差し上げたとき、人の鼻に指突っ込んだの」

「どうでもいいよ!
 その情報!」
と言われてしまったが……。




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