というわけで、結婚してください!
では、お嫁に行ってきます、と出たはずの家を鈴は少し離れた裏側から見つめていた。
自宅付近まで戻ってきていた鈴たちは、日が暮れるまで待って、裏門をくぐると、庭の中をこそこそ歩いて、洋館風の建物に近づく。
「鍵も持ってませんし。
何処か開いてないか、見て回った方がいいですかね?」
屋敷の何処かは開いているかもしれない、と明かりのついている窓を警戒しながら、鈴は見上げていたのだか。
うーん、と悩みながら、庭を歩いていた尊は、いきなり玄関に回り、チャイムを押した。
「ちょっとーっ」
と抑えた声で、鈴は叫ぶ。
「なんで、こそこそ来といて押しちゃうんですかっ」
と叫ぶと、
「いや、お前を返した方がいいんだろうかと迷って」
と尊は言う。
迷いながら、もう押しているっ!
まあ、こういう人だから、私を誘拐できたんだな、と鈴が思っていると、ガチャリとドアが開いた。
父が出てくる。