というわけで、結婚してください!
 




 父親が特になにも訊いてこなかったので、なんとなく三人で、ぽすが遊ぶのを眺めていた。

 すると、一緒にラグに座っている尊が、
「そういえば、ぽすって、なんで、ぽすなんだ?」
と訊いてきた。

「ぽすって感じだからです」

「……想像通りだな」
と尊が呟いたとき、後ろのソファに居た父がようやく口を開いた。

「しかし、尊くん。
 うちの娘は、清白の跡継ぎにあげたはずなんだけどね」

 尊は、罰が悪そうな顔をする。

「君、鈴を連れて逃げたってことは、後継者争いに参加するってことでいいよね?」

「お父さん」
と咎《とが》めかける鈴の言葉を塞ぐように、父は続けて尊に言った。

「君は押しが弱い。
 相手が野心満々だと自分が引いてしまう。

 腹違いの弟に支社に飛ばされたというのに。
 これから先もそんな風なのかい?

 だったら、鈴からも手を引きなさい」

 普段は、ぽすそっくりな父がぴしゃりと尊にそう言った。
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