というわけで、結婚してください!
「心清らかなのはいいけれど、それでは鈴を守れない。

 たいした娘じゃないかもしれないが。
 私たちが心を込めて育てた娘だ。

 大事にしてくれる男に渡したい」

 お父さん……と思う鈴の横で、
「お父さん……」
と一緒に感動したらしい尊は父の手を取っているが――。

 いやあの、よく考えたら、我々はただの誘拐犯とさらわれた人で。

 恋愛関係でもなんでもないんですが……。

 なんだか二人とも感極まっているので、口を挟みづらいな、と膝にのってきたぽすを抱いて、鈴は二人を見守っていた。

「君の覚悟はよくわかった」
と尊の手を握り返す父を見ながら、

 なんの?

 どのような覚悟……?
と思う鈴を振り向き、父は言ってきた。

「鈴。
 そろそろお母さんが帰ってくるから、帰りなさい。

 見つかると、いろいろうるさいから」

 いや、何処へ?
と鈴は思っていた。
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