というわけで、結婚してください!

 此処には、ちょうど殴るのによさそうな、スパナとか鈍器とかあるようだが……と思っていると、尊が、

「朝倉秀《あさくら しゅう》。
 素直すぎるのが玉に瑕《きず》な俺の友人だ」
と紹介してくるので。

 息の根を止めるのなら、このイケメンより、こっちかな、と鈴は思っていた。

 そのイケメン、秀がヒソヒソッと尊になにやら耳打ちしている。

「……そうなのか。
 それは知らん」
と尊が言うと、なんだかわからないが、秀は、こちらを見て、ひひひ、と笑う。

 そのとき、奥のガラス張りの事務所の方で電話が鳴り出した。

「車、もう直ってる。
 ついでに磨いておいた。

 お代は、征《せい》に請求しとくから、心配すんな」
と理不尽なことを言い、秀は事務所の方に行ってしまう。

「乗れ」
とそのオープンカーを見下ろし、尊が言ってきた。
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