というわけで、結婚してください!
「帰ったのか」
尊と別れたあと、そっと屋敷の玄関ホールに入った数志は、征の声に、びくりとした。
ホールの右脇にある湾曲した階段から下りてくる征を見ながら、
「あー、まだ起きてたんですか」
と言う。
うわー、やべ。
さっさと部屋に引き上げようと思ったのに、顔合わしちゃったよ、と思いながら、数志は、はは、と笑って誤魔化そうとした。
数志一家は子どもの頃から、この屋敷の離れに住んでいた。
今は数志は、清白家の警備も兼ねて、父たちとは別に母屋の一角を借りて住んでいるのだが――。
豪華な屋敷で暮らせていいような。
二十四時間気が休まらないような、と思う数志に近づき、征が言ってくる。
「……どうした?
なにか隠してる顔だが」
ひーっ、と数志は夜食を取り落としそうになった。