というわけで、結婚してください!
「忘れ物ですよ」
 でもいいから。

 鈴がもう一度、顔を覗けてくれないだろうかと思っていたのだが。

 開《ひら》いたドアは隣のドアで、現れたのは、観光客らしい外国人の親子だった。

 楽しげに話しながら、エレベーターホールに歩いていくその後ろ姿を見送る。

「……阿呆だな」
と自分を罵り、尊は廊下を歩き出した。




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