というわけで、結婚してください!
 だが、誰も本気で間違ったりはしない。

 そのくらい雰囲気が違う。

 だから、同じ顔なのに、鈴様が、尊様を見た瞬間、あっちに行ってしまったのは……。

 いや、考えるのはよそう。

 うっかり口に出したら、屋敷の地下とかに連れ込まれて、凄惨な最期を遂とげるはめになりそうだからな……と思う数志の前で、征は言った。

「まあ、どうせ、もう一晩過ぎたんだ。
 鈴は尊のものになったんだろう。

 あいつのお古なんてもういらん」

 だが、
「じゃあ、もう追わなくていいですか」
と言うと、征は黙る。

 ちょっと征が可哀想になってきた数志は、
「でも、まだ、なんにもなさそうでしたけどね、あの二人」
とうっかりもらしてしまい、

「やっぱり会ってるんじゃないかっ」
と怒鳴られた。

 罠かっ、と思いながらも、数志は慌てて弁解する。
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