というわけで、結婚してください!
「すみません、征様。
 実は黙ってましたが。

 先程連絡がありまして。
 会合の予定が早まって、新幹線が一本早くなったんです。

 二十分以内に駅に行かないと」

 だから、つれて来ました、と数志は言う。

「数志、貴様~っ」
と征は数志の胸ぐらをつかんだが、

「いやもう勘弁してくださいよ」
と数志は眉をひそめて言ってくる。

「お二人から責め立てられて、俺、大変なんですから。
 もう、双方の顔を立てるには、これしかないかなって」

 尊が、
「いや……、どっちの顔も潰してるような気がするんだが」
と呟いていたが――。
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