というわけで、結婚してください!
「でもそれ、私が、助けてーって騒いだら、どうするんですか?」
と訊くと、

「そのときは、すぐにお前を車から放り出すから大丈夫だ。
 お前を連れ出した時点で、俺の目的は半分達成してるからな」
と尊は言ってくる。

「残り半分は?」
と訊いたが、答えてはくれなかった。

 まあ、誘拐犯にしては、よくしゃべってくれる方か――
と思ったあとで、空を見上げる。

 梅雨が明けたばかりの綺麗な夏空だ。

 それにしても……

 現実感ないなあ。

「いい天気ですね~」
と思わずもらすと、

「呑気だな……」
と尊が呆れたように言ってきたが、呑気なのは、そこまでだった。

 鈴の予感が当たったからだ。






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