というわけで、結婚してください!



 整備工場の人に、また来いよ、と言われるのは、不吉だ、と思った鈴の勘は正しかった。

 湾岸沿いを走っているとき、いきなり車の調子が悪くなり、止まってしまったのだ。

「……あいつの大丈夫は信用すまい」
となんとか最後の馬力で、車を端に寄せた尊《みこと》が、ハンドルを握ったまま、そう呟く。

 車から降りた尊が秀に電話をすると、
『この電話は盗聴されています』
と機械のような音声が聞こえてきたが、どうやら、秀が言っているようだった。

『来た来た来たっ。
 征《せい》の追っ手が来たぞっ。

 拷問されても口を割らないように、行き先聞いてなくてよかったよ~っ』
と秀は大きな声で言ってくる。

 ……拷問?

 うーむ。
 しそうだな、と征を思い浮かべながら、鈴は思う。
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