というわけで、結婚してください!
 行ってきます、と嫁に出たまま、新居にもたどり着けなかった自分に家はないはずなのに。

 そして、この人も今は行く宛てもない感じなのに、と尊を見上げた。

 すると、ひょいと手にしていた本を尊に取られる。

「よし、それとこれを買うか。
 お前の小話でも聞きながら、走ろう」

「だから、ないですってば、小話なんてー」

 鈴は歩幅の違う尊のあとを追い、急いでレジまでついて行った。




< 236 / 477 >

この作品をシェア

pagetop