というわけで、結婚してください!
 




 地元が近づいてくると、夜も更けてきた。

 一般道に降り、尊が口を開きかけたとき、鈴は道の両脇にある街灯の明かりを見ながら言った。

「清白《すずしろ》の家で」

「いや、まだ、なにも言ってないんだが……」
と尊は言うが。

 尊がまず、鈴の実家に行くか、征のところに行くか、迷っているのはわかっていた。

 少し考えたあとで、尊が、
「……いいのか?」
と訊いてくる。

「はい。
 遠回りするより、まず、敵の中心部に攻め入ったほうがいいかと思うので」
と言うと、

「城でも落とす気か」
と言われたのだが。

 結局、尊は清白の家に向かうことにしたようだった。
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