というわけで、結婚してください!
「あの家、人口が少ないときは少ないんだが。
 今は多そうだぞ」
と尊が数志からの情報を思い出しているのか、眉をひそめて言ってくる。

 今は、敵が多く屋敷の中に存在しているということだろう。

 おそろしいダンジョンのようだな……と思いながら、そうですか、と鈴は言った。

「そいえば、見合いから式まで、怒涛の展開だったので、あまり清白の家にはお伺いしてないんですよね。

 だから、尊さんとも顔を合わせてないんですかね?」

「いや、俺は、征に後継者の座から追い落とされてからは、他のマンションで暮らしてたから」

 まあ、粘るより、あっさり出て行きそうな人だよな、と思う。

 窪田さんも、尊さんがあまりに抵抗しないので、イライラしたとか言ってたらしいし。

 ……よくこの人、私を誘拐しようと思ったな、と思ったとき、尊が、
「着いたぞ」
と言った。
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