というわけで、結婚してください!
 



 尊が守衛室で数志と揉めている頃、鍵を開けた征が鈴の居る牢の中に入ってきていた。

 鈴はジリジリと後退しながら、周囲を見回すが、盾になるようなものはなにもない。

 どうしたら?

 ……どうしたらっ?

 なすすべもなく、ただ必死に目を皿のようにして、牢の中を探る鈴の前で、征が言った。

「お前は俺の花嫁だろう。
 逃げる必要が何処にある?」

 征の言うことは正しい。

 だが、気持ちのうえでは、なにも納得できない。

「お前のような家の女は、政略結婚が多いが。
 それでも、みな、そのうち、仲むつまじくなったりしてるだろうが。

 お前にだけ出来ないということはない。

 頑張ってみろ、鈴っ!」

 何故だろう。

 励まされている……。
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