というわけで、結婚してください!
「第一、尊は、お前を無理やり連れ去った犯罪者なんだぞ。
 尊の方が好きとかありえないだろうっ」

 ほんと、世の中、なにが起こるかわからないものですよね~と思っているうちに、鈴は、ひんやりとしたコンクリートの壁まで追い詰められていた。

 征が鈴の顔のすぐ側に右手をつく。

 ひゃっと鈴は身を縮めた。

 大きな征の身体に明かりが遮られ、余計に逃げられない感じがしてくる。

 そのとき、征が、

「……鈴。
 ちょうどいいものが此処にある」
と言いながら、何処からともなく、荒縄を取り出してきた。

 ふと気づけば、征の目は天井を見ている。

 なにもない牢の中だが、天井には、縄をひっかけるのによさそうな蛍光灯があった。

 鈴は、蛍光灯を見て、縄を見て、征を見た。

 征は、縄を見て、蛍光灯を見て、鈴を見た。

 い、いやいやいや……。

 勘弁してください。
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