というわけで、結婚してください!
「す……」
と尊はなにか言いかけたが、それを塞ぐように、征が言う。

「行かせないぞ、鈴。
 お前はまだ、俺の妻なんだからな」

 その横で、数志が小声で、
「式もちゃんと終わってないし、婚姻届も出してないですけどね~……」
と言っていたが、征は数志のそんな言葉を綺麗に無視して言ってきた。

「だいたい、お前ら、なんで、何度も九州に行きたがるんだっ。
 本州から出たら、俺から逃れられるとでも思っているのかっ。

 それとも、此処での現実から逃れて、そこまで行けば、なにかあるとでも思っているのかっ。

 自分探しの旅かっ?」

 ……え~と。

 なにがあるんだって、社宅と職場がありますよね、尊さんの。

 これ以上ない現実な気がするんだが……。

 だが、まあ、征が言ってるのは、おそらく、そういうことではないのだろう。

 確かに、自分たちは、この現実から逃がれるために、九州に向かい、走っていた気がするから。
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