というわけで、結婚してください!
 


 車の準備を待つ間、鈴は尊に連れられ、屋根裏への階段を上がっていた。

「俺の荷物は今、此処にある」

 どんなシンデレラですか……。

「まあ、身の回りのものは、此処を出たとき、今のマンションに移したんだが」
と言いながら、尊は屋根裏部屋のドアを開けた。

「わあ、可愛い」
と鈴は声を上げる。

 小さなアーチ型の木の窓に小さな木の椅子。

 天体望遠鏡も置かれていて、隅の方には、宝箱のようなおもちゃ箱がある。

「てっきり、埃まみれで蜘蛛の巣が張って、ベッドもないようなとこだと思ってました」

「……シンデレラか」
とやはり、尊も言った。

「まあ、俺は、別に此処で寝泊まりしてたわけじゃないけどな」

 子どものために誂《あつら》えたかのようなその部屋に、ダンボールが山積みされているのが少々違和感があるが。

 どうやら、それが今の尊の荷物のようだった。

「別に持ってくものないんだけどな」
と尊は呟く。
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