というわけで、結婚してください!
案の定、社宅の駐車場にロールスロイスは止められなかった。
かなり線からはみ出していたので、
「文句言われそうだな。
まあ、すぐ会社に持っていくから」
と言ったあとで、尊は、
「嫌だな、転勤早々、こんな車で乗り付けてくる奴……」
と自分で呟いていた。
社宅はまだ新しい三階建ての建物で、尊の部屋は三階の右から二番目だった。
鍵を持っていた尊がドアを開けると、鈴は、わあ、と声を上げる。
「広いじゃないですか。
日当たりもいいし」
「……いや、まあ、お前のうちとかと比べたら、相当狭いが」
そう申し訳なさそうに尊は言うが、窓を開けると、いい風が入ってきて、気持ちがいい。
「尊さん、職場に顔を出されるんですよね?
私、お掃除しときますっ。
……あ、迷惑でなければですが」
と鈴が言うと、
「いや、いい。
ちょっと横になっとけ」
と尊は言ったあとで、ちょっと困った顔をする。
実際、鈴も困っていた。