というわけで、結婚してください!
「俺はたぶん、最初からお前が気になっていたんだと思うし。

 ……お前と居たこの数日が、人生で一番楽しくて、忘れがたいものだったと思う。

 それは花嫁を略奪するとかいう非日常の空間に居たからじゃなくて。

 なんだろう。

 お前と車で走り続けたり、サービスエリアに寄ったり、道の駅に寄ったり。

 温泉に入ったり。

 ソフトクリーム食べたり。

 ……上手く言えないけど、そういう普通の休日的な部分が楽しかったっていうか。

 例えば、どんなに仕事で疲れても、たまの休みに、お前とこうして過ごせる日々が送れるのなら、充実した人生が送れそうっていうか。

 すまん。

 全然、上手く言えてないな」
と言った尊は、

「プレゼン的に言ってみようか」
と会議用のレーザーポインターでも持っているような仕草で言い出した。

 自分の得意分野に引っ張りこもうとする尊に、
「いえ、いいです」
と鈴は苦笑して断る。

 今から、グラフとか作るからちょっと待て、とか言われても困るしな、と思いながらも、その尊らしい感じに笑ってしまった。

「鈴」
と言った尊は、鈴の前に跪《ひざまず》く。
< 374 / 477 >

この作品をシェア

pagetop