というわけで、結婚してください!
城の裏手側に何棟かあるヴィラはもう完成しているようだった。
人工のものなのかもしれないが、ヴィラの前には小振りだが、ゆったりとした湖が広がっていた。
西洋の美しい森と湖に囲まれたヴィラ。
――といった感じだが、此処はもちろん、日本だ。
だが、山の奥深くで、他に民家もないので、日本じゃないんじゃないかな、とかうっかり思ってしまいそうになる。
そう尊《みこと》に言うと、湖の向こうの森を見ながら、言ってくる。
「まあ、西洋の森というには、杉、松、ヒノキが多すぎるかな」
「そうですね。
素敵なホテルですが、花粉症の方にとっては、時期によっては危険ですよね」
「……窪田に言っとくよ」
と尊が言ったとき、ヴィラの入り口のチャイムが鳴った。
まさか、追っ手!?
と鈴は身構えたが、どうやら、ホテルのスタッフが訪れただけのようだった。