というわけで、結婚してください!

 ほっとしたあとで、気がついた。

 そういえば、誘拐されてる私が追っ手の心配をするのも変だったな、と。

 スタッフと尊が話す声が微かに聞こえてくる。

 鈴は心地の良い森の風に誘われるように、開け放たれた大きな掃き出し窓から広いテラスに出てみた。

 すると、カルガモの親子が茂みから移動しているところだった。

 えい、と池に落ちているカルガモの子どもを見て、 ―― いや、そんな風に鈴には見えたのだが、

「わあ、可愛い」
と声を上げ、テラスの端まで出たとき、尊が、

「ほら」
とシャンパンを後ろから差し出してきた。

 今、スタッフの人が持ってきてくれたウェルカムドリンクらしい。

 尊の手にある透明度の高いクリスタルガラスのグラスの向こうに、森と湖が映り込んでいて綺麗だ。

「ありがとうございます」
と受け取った鈴は、喉が渇いていたこともあって、優雅に泳ぐカモを見ながら、すぐに、それに口をつけた。

 だが、尊が呑んでいないことに気づく。
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