というわけで、結婚してください!
「呑まないんですか?」
と訊くと、尊はカルガモの親子を見ながら、

「いつまた車で逃げなきゃいけないかわからないじゃないか」
と言ってくる。

「いやあ、そのときは、タクシーで逃げればいいんじゃないですかね?」
と鈴が言うと、尊は、

「……タクシー?」
と訊き返してきた。

「それか代行。
 あ、こんなところまで来てくれないですかね?」

 しばらく沈黙していた尊は、
「……莫迦莫迦しくなってきたから、呑むか」
と呟き、グラスに口をつけていた。

 そのまましばらく二人で湖を眺めていた。

 逃亡中とは思えない、ゆったりとした時間が流れている。

 昨日、忙しく式の準備をしていたときには、今、こんな風にしている自分を想像もしていなかったな……と思いながら、鈴は湖から流れてくる冷たい空気を吸い込んだ。








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