というわけで、結婚してください!
見ただけでは、人となりなどわからないので、征と条件は同じだったはずなのに。
なんで、この人には強く逆らわなかったんだろうなと思う鈴をすぐ側に来た尊が見下ろし、言ってくる。
「可哀想だからと見逃してやっていたが、お前が望むなら襲ってやろう」
望んでませんっ、と鈴はまた高速で手を振った。
冷たい風が顔の周囲に巻き起こったが、何故か、全身からは悪い汗が噴き出している。
じりじり後退していく鈴を追い詰めるように尊は前に出てくる。
「まあ、征の手垢のついた女なんぞ、本当は抱きたくもないんだが」
と言う尊に、鈴は思わず言ってしまっていた。
「え?
私は清らかですよ?」
いや、自分で清らかですとか言うのもおかしいのだが。
妙な目で見られるのも嫌なので、鈴は即座にそう否定する。