というわけで、結婚してください!
「そうだ。
 あとで、スマホ、貸していただけませんか?」
と鈴が言うと、尊は、

「置いてきた」
と言う。

 そうか。
 位置を調べられると困るからだな、と思っていると、尊は窺うように鈴を見、
「家に連絡する気か?」
と訊いてくる。

「いえ。
 ぽす、元気かなー、と思いまして。

 お父さん、毎日、ぽすのこと書いたブログをアップしてるので、見てみようかと」

「今日、更新してるわけないだろ」
と言いながらも、尊は、窪田にタブレットを貸してくれるよう頼んでくれた。

 すぐにスタッフがデザートと一緒に運んできてくれる。

 鈴がそのブログを見せると、尊は一瞬、絶句した。

「……してるな、更新」

 どんな親だ、と教会で父らしき人物の腕に抱かれている、ぽすを見て、尊は呟く。

「外に出かけて、おおはしゃぎだそうです」
と鈴がその文面を読んで聞かせると、

「ぽすに空気読め、と言っておけ。
 ……いや、お前の父親にか」
と尊は言ってきた。




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