というわけで、結婚してください!





 結局、ディナーはテラスに運んでもらった。

 夕日に輝く湖を眺めながら、ゆったり食事をする。

 しかし、鈴は、いいのかなあ、と思っていた。

 こんなことしてて、いいのかなあ。

 おそらく、尊もそう思っているだろうが、お互い顔には出さなかった。

 ふいに尊と目が合ったので、鈴は照れたように視線を落とす。

「ちょっと酔っちゃいました」

 ワイングラスを置きながら、今、照れてしまったことを誤魔化すように、笑ってそう言うと、尊は鈴を見て、言ってくる。

「……普通なら、その一言は誘ってるんだろうが。
 お前の場合、違うんだろうな」

「はい」

 本当に、ちょっと、酔ったのだ。
< 64 / 477 >

この作品をシェア

pagetop