というわけで、結婚してください!

 
 

 いい天気だなー。

 浜辺では、離れた場所で釣りをしている父親と息子らしき人影がある以外、誰の姿も見えなかった。

 鈴たちは防波堤の下辺りにレジャーシートを広げて、バスケットの中身を取り出す。

「わあ、すごいですね。
 これは人気になると思いますよ」
と鈴は笑った。

 トランク型のピクニックバスケットの中からは、細切り野菜のたっぷり入ったサンドイッチに、陶器の小洒落た容器に入ったスープ。ふわふわのオムレツとまだ少し温かいクロワッサンが少し。それに、フルーツがふんだんに入っていた。

「どうしましょう。
 昨日のディナーに引き続き、幸せです」
と言いながら、鈴は夕日に輝く湖を見ながら食べた、昨日の夕食を思い出す。

「……でも、いけませんよね。
 こんなこと」
と鈴が呟くと、尊が、

「どうしてだ?」
と訊いてくる。

「だって、私、悪いことしてるのに」
「お前がなんの悪いことをしてるんだ?」

「式場から逃げました」
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